尼崎の税理士が節税 | 国保負担を抑える「不動産管理会社」活用のスキーム

代表税理士松野茂 回し蹴りイラスト 税務問題を蹴散らす強い税理士
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大家さんの悩み

長年アパートやマンション経営を続けていると、建物の減価償却費がほとんどなくなっていきます。
減価償却は大きな経費計上の柱ですが、これがなくなると不動産所得がそのまま増えてしまいます。

すると…

  • 所得税や住民税の負担が上がる
  • 国民健康保険(国保)の保険料が高額になる

という二重の負担増に直面します。

特に国保は所得に応じて計算されるため、所得が増えるほど負担感が強まります。

解決策:会社を設立して不動産管理を委託する

そこで有効な手段の一つが「不動産管理会社の設立」です。

  • 大家さん自身が株式会社を設立
  • その会社に、不動産の管理業務を委託
  • 大家さん個人は、その会社から役員報酬や給与を受け取る

といった仕組みにします。

国保から社会保険へシフト

会社を設立し、大家さんがその会社の役員や従業員として 給与を月10万円程度受け取る 形にすると、条件を満たせば会社経由で 社会保険(健康保険・厚生年金) に加入できます。

これにより:

  • 国保を脱退 → 高額な国保保険料の負担から解放
  • 社会保険に加入 → 医療保障や年金制度が安定
  • 厚生年金 → 将来の年金受給額が増える可能性

というメリットが生まれます。

. 実務のポイント

不動産管理会社を活用する際には、いくつかの注意点があります。

  • 管理委託契約の適正性
    不動産オーナーと会社の間で「管理委託契約書」を交わす必要があります。委託料は不動産収入の一定割合(例:5〜10%)など、適正な範囲で設定。
  • 給与設定のバランス
    給与を高くしすぎると、法人側の負担や社会保険料が増加。月10万円程度の水準から調整が一般的です。
  • 法人設立コストとランニングコスト
    設立費用や法人の維持費用(決算・申告・会計処理など)もかかるため、節税効果や社会保険料削減効果と比較検討が必要。

チェックリスト(税理士・大家さん向け)

  • 建物の減価償却が終了し、不動産所得が増えている
  • 国保の負担が大きくなってきた
  • 法人を設立し、社会保険加入を検討している
  • 不動産管理委託契約を適正に結べるか確認
  • 給与水準(10万円程度)で社会保険加入の条件を満たせるか
  • 法人維持コストと効果を試算済み

まとめ

「不動産管理会社の活用」は、相続対策や所得分散の方法としても知られていますが、実は 国保負担を社会保険に切り替える手段 としても効果があります。

ただし、実際に導入する際には、契約内容や給与水準、法人維持コストとの兼ね合いなど、専門的な検討が不可欠です。

国保の負担が重くなってきた地主さん・大家さんは、一度「不動産管理会社による社会保険加入」という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

国保の負担

所得割:約10% → 100万円 実際は上限が80万円ぐらい

所得1千万円X負担率10%概算 わかりやすくしています、

均等割など:5万円程度

年間合計:約105万円 実際は85万円ぐらい

法人を設立して給与10万円/月で社会保険に加入した場合

  • 標準報酬月額:10万円
  • 健康保険+厚生年金 → 約30%(会社・本人で折半)わかりやすく概算で計算 毎月3万円の負担 わかりやすく概算で計算 X12月
  • 年間給与:120万円

保険料負担

  • 本人負担:約18万円/年
  • 会社負担:約18万円/年
  • 合計:約36万円/年

比較まとめ

  • 国保(個人事業主のまま):約80万円/年
  • 社会保険(法人+給与10万円):約36万円/年(本人+会社負担合計)

👉 差額:約44万円の負担減 

注意点

社会保険は会社と本人で折半する仕組みなので、法人側でも負担が発生します。

ただし「会社負担」も経費扱いになるため、法人税等で調整効果があります。

実際の国保料率・社会保険料率は自治体・健康保険組合ごとに異なるため、シミュレーションが必要です。

法人化に伴う追加コスト

法人設立費用(登録免許税・定款認証等):約30万円(初年度のみ)

税理士顧問料の増加:年間10万円程度(法人申告・決算が必要なため)

トータル試算

国保のまま:年間 約80万円

社会保険へ移行:年間 約36万円+顧問料増加10万円=約46万円

初年度のみ:さらに法人設立費用30万円が必要

結果

初年度:国保との差額は 約4万円の節減効果 国保80万円-社保36万円-税理士10万円-会社設立30万円

2年目以降:国保との差額は 約44万円の節減効果 国保80万円-社保36万円

実際には所得税・住民税の負担も変わります。

免責事項

本記事は税理士が一般的な制度や仕組みについて解説したものであり、特定の方の状況に対して直接的な助言を行うものではありません。実際の税務・社会保険の取り扱いは、所得状況・資産構成・家族構成・居住地の制度などによって大きく異なります。必ず、個別の事情については顧問税理士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。当事務所は本記事をもとにされた判断によって生じたいかなる損害についても責任を負いかねます。

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税理士法人松野茂税理士事務所は、西宮 ・ 尼崎で30年以上にわたり、地主様・不動産オーナー様の相続税対策や法人化支援を行ってきました。
国保や社会保険の負担軽減から、相続・事業承継、M&A・組織再編といった高度な税務まで、幅広く対応しております。
「安心と信頼」を第一に、これからもお客様に寄り添ったサポートを提供してまいります。
不動産経営や相続に関するご相談があれば、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせください。

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