税理士法人松野茂税理士事務所 松野先生とスタッフの田中さんの会話から、決算対策としての消耗品購入について分かりやすく解説します
Q&A 1:「決算間近ですが、何か節税対策はありますか?」
田中スタッフ: 松野先生、お客様から「決算まであと1ヶ月ですが、利益が予想以上に出そうです。何か節税対策はありますか?」という相談がありました。
松野先生: そういう場合には、期末の消耗品購入が有効な節税対策の一つになります。ただし、税法上の条件を満たす必要がありますので、詳しく説明しましょう。
田中スタッフ: 消耗品なら何でも購入すれば経費になるわけではないんですね。
松野先生: その通りです。原則として、消耗品は使用されたものだけが経費となり、期末に残っている分は貯蔵品として資産計上しなければなりません。
Q&A 2:「期末に購入した消耗品が全額経費になる条件はありますか?」
田中スタッフ: 期末に購入した消耗品でも、全額を経費にできる方法があるのでしょうか?
松野先生: はい、税法では一定の条件を満たせば、購入した事業年度の損金算入を認めています。その条件は以下の3つです:
損金算入の3つの条件:
1. 毎月おおむね一定数量を購入していること 普段から継続的に購入している実績が必要です。
2. 毎年経常的に消費するものであること 事業に必要で、定期的に使用する消耗品であることが条件です。
3. 会計処理方法を継続して適用していること 同じ処理方法を継続的に採用する必要があります。
田中スタッフ: つまり、急に大量購入しても認められないということですね。
松野先生: その通りです。日頃の購入パターンと大きく異なる場合は、税務調査で問題視される可能性があります。
Q&A 3:「どのような消耗品が対象になりますか?」
田中スタッフ: 具体的には、どのような消耗品が対象になるのでしょうか?
松野先生: 税法上認められる消耗品の例は以下の通りです:
対象となる消耗品:
- 事務用消耗品(文房具、コピー用紙、トナーなど)
- 作業用消耗品(工具、軍手、作業着など)
- 包装材料(段ボール、ビニール袋、テープなど)
- 広告宣伝用印刷物(パンフレット、チラシなど)
- 見本品など
田中スタッフ: どの業種でも使えそうなものが多いですね。
松野先生: はい、ただし重要な注意点があります。これらは販売費及び一般管理費として処理するものに限られ、製造原価に係る経費には認められません。
Q&A 4:「製造業の場合は注意が必要なんですね?」
田中スタッフ: 製造業のお客様の場合、どのような点に注意すべきでしょうか?
松野先生: 製造業では消耗品の区分が重要です:
販売費及び一般管理費として認められる消耗品:
- 事務用品(本社で使用するもの)
- 営業用の消耗品
- 管理部門で使用する消耗品
製造原価として認められない消耗品:
- 製造現場で直接使用する消耗品
- 生産に直接関わる材料や部品
田中スタッフ: 同じ消耗品でも、使用する部門によって扱いが変わるんですね。
松野先生: その通りです。製造原価に関わる消耗品は、原則として使用した分だけが経費になります。
Q&A 5:「普段から継続購入していない場合の対策はありますか?」
田中スタッフ: これまで継続購入していない消耗品について、今年度から始めることはできますか?
松野先生: 新たに継続購入を始めることは可能ですが、以下の点に注意が必要です:
新規継続購入のポイント:
- 事業との関連性を明確にする
- 翌年度以降も継続購入する予定であることを示す
- 購入量の合理性を説明できるようにする
- 使用予定と保管状況を明確にする
田中スタッフ: 将来の計画性が重要ということですね。
松野先生: はい、一時的な節税目的ではなく、事業運営上の必要性に基づく購入であることが重要です。
Q&A 6:「他にも期末にできる節税対策はありますか?」
田中スタッフ: 消耗品購入以外に、期末にできる節税対策はありますか?
松野先生: 消耗品以外にも、以下のような対策があります:
期末にできる主な節税対策:
- 賞与の支給(事前に支給決定していること)
- 修繕費の前倒し実施
- 広告宣伝費の活用
- 福利厚生費の活用
- 30万円未満の少額減価償却資産の購入
田中スタッフ: それぞれに注意点もありそうですね。
松野先生: その通りです。どの対策も税務上の要件を満たす必要があります。また、短期的な節税より、長期的な事業計画に基づいた対策を心がけることが重要です。
Q&A 7:「決算対策の計画はいつ頃から立てるべきでしょうか?」
田中スタッフ: 効果的な決算対策を行うには、いつ頃から準備すべきでしょうか?
松野先生: 理想的には、期首から年間を通じた計画を立てることです:
効果的な決算対策のタイムライン:
期首~中間期:
- 年間の業績予測
- 節税対策の年間計画策定
- 設備投資計画の検討
第3四半期:
- 業績の中間見直し
- 必要な対策の具体化
- 消耗品等の継続購入開始
期末直前:
- 最終的な調整
- 短期的に可能な対策の実施
田中スタッフ: 計画的な対応が一番効果的ということですね。
松野先生: はい、当事務所では月次監査を通じて、年間を通じた税務アドバイスを提供しています。早めの相談で、より効果的な節税対策が可能になります。
まとめ:計画的な決算対策で適正な税務管理を
松野先生からのアドバイス:
決算対策は一朝一夕にできるものではありません。特に消耗品購入による節税は、継続性と合理性が求められます。以下の点を心がけましょう:
- 日頃からの継続的な購入実績
- 事業との関連性の明確化
- 年間を通じた計画的な対策
- 税務要件の正確な理解
当事務所では、豊富な経験を活かして、弥生会計やクラウド会計での月次管理から決算対策まで、お客様の事業に最適な税務戦略をご提案いたします。組織再編やM&Aも含めた長期的な視点でのアドバイスも可能です。
決算対策や年間税務計画でお悩みの際は、阪神尼崎駅徒歩1分の松野茂税理士事務所まで。豊富な経験の実績と専門知識で安心サポートいたします。
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