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Q1. 特定口座(源泉徴収あり)で損失が出た場合、確定申告は必要ですか?
A. 特定口座(源泉徴収あり)の損失は、確定申告の義務はありません。ただし、以下の場合は申告することで税制上のメリットがあります:
- 他の口座(一般口座、特定口座源泉徴収なし、NISA以外)の利益と損益通算したい場合
- 損失の繰越控除(3年間)を受けたい場合
- 配当所得と損益通算したい場合
Q2. 特定口座(源泉徴収なし)で損失が出た場合の申告は?
A. 特定口座(源泉徴収なし)は、利益・損失に関わらず確定申告が必要です。損失の場合は:
- 申告により他の株式等の利益と損益通算が可能
- 控除しきれない損失は翌年以後3年間繰越可能
- 年間取引報告書を基に申告書を作成
Q3. 一般口座で損失が出た場合の申告方法は?
A. 一般口座の場合、自分で取得価額や譲渡価額を計算し、確定申告が必要です:
- 取得価額は実際の購入価額(手数料込み)
- 譲渡価額は売却価額(手数料控除後)
- 同一銘柄を複数回購入している場合は移動平均法または総平均法で計算
- 損失も他の口座との損益通算や繰越控除の対象
Q4. NISA口座での損失はどう扱われますか?
A. NISA口座での損失は税制上の取扱いが特殊です:
- 損失は確定申告できません
- 他の口座の利益との損益通算は不可
- 損失の繰越控除も適用されません
- NISA口座内での利益も非課税のため、損益通算の対象外
Q5. 複数の口座を持っている場合の損益通算は?
A. 以下の組み合わせで損益通算が可能です:
損益通算可能な組み合わせ
- 特定口座(源泉徴収あり・なし)同士
- 特定口座と一般口座
- 上場株式等の譲渡損失と配当所得
損益通算不可能
- NISA口座との損益通算は一切不可
- 非上場株式との損益通算は不可
Q6. 損失の繰越控除について詳しく教えてください
A. 上場株式等の譲渡損失は3年間繰越可能です:
適用条件
- 確定申告書の提出が必要(損失の年および繰越年)
- 繰越期間中は継続して申告が必要
繰越控除の順序
- 当年の株式等の譲渡益と相殺
- 当年の配当所得と相殺
- 残額を翌年以後に繰越
注意点
- 申告を怠ると繰越控除の権利を失う
- NISA口座の損失は繰越対象外
Q7. 配当所得との損益通算はどのように行いますか?
A. 上場株式等の譲渡損失は配当所得と損益通算が可能です:
手続き方法
- 確定申告書で配当所得を「総合課税」または「申告分離課税」を選択
- 申告分離課税を選択した場合のみ譲渡損失と相殺可能
- 源泉徴収された配当税額は還付される場合がある
有利判定
- 配当所得の税率と所得税率を比較検討
- 社会保険料等への影響も考慮が必要
Q8. 年の途中で売買した場合の申告タイミングは?
A. 株式の譲渡所得は、売却した年の所得として申告します:
- 12月31日までに売却した分が当年の申告対象
- 約定日基準で判定(受渡日ではない)
- 損失も同様に売却年の申告で処理
Q9. 申告に必要な書類は何ですか?
A. 口座の種類により必要書類が異なります:
特定口座
- 年間取引報告書(証券会社から発行)
- 配当等の支払通知書(損益通算する場合)
一般口座
- 売買時の売買報告書
- 取得時の売買報告書
- 配当等の支払通知書
共通
- 前年からの損失繰越がある場合は前年の申告書控え
Q10. よくある申告ミスと注意点は?
A. 以下の点にご注意ください:
よくあるミス
- NISA口座の損失を申告してしまう
- 特定口座(源泉徴収あり)で申告不要なのに申告してしまい、社会保険料が増加
- 損失繰越の申告を途中で止めてしまう
- 配当の課税方式選択を間違える
確認ポイント
- 各口座の年間取引報告書の数値確認
- 前年繰越損失額の正確な転記
- 申告方式による有利不利の検討
- 社会保険料等への影響の事前確認