確定申告の時期になると、多くの方から「私は申告が必要でしょうか?」といったご質問をいただきます。30年の税理士経験をもとに、よくあるご質問にお答えします。
基本編
Q1. 確定申告は誰でもしなければいけないのですか?
A. いいえ、すべての人が行う必要はありません。個人の所得状況によって、申告が必要な人、不要な人、申告した方がお得な人に分かれます。
Q2. 個人事業主やフリーランスは必ず申告が必要ですか?
A. 年間の合計所得金額が48万円(基礎控除額)を超える場合は、確定申告が必要です。売上から必要経費を差し引いた「所得」で判断しますので、売上が48万円を超えていても、経費を引いた所得が48万円以下であれば申告不要です。
Q3. 会社員は確定申告をしなくても大丈夫ですか?
A. 通常、会社員の方は年末調整で納税が完了するため申告不要ですが、以下のケースでは確定申告が必要になります:
- 年収が2,000万円を超える方
- 副業の所得が20万円を超える方
- 2か所以上から給与を受けている方
- 勤務先で年末調整が行われなかった方
副業・複数収入編
Q4. 副業をしていますが、いくらから申告が必要ですか?
A. 給与所得者の場合、副業の所得(収入から経費を差し引いた金額)が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。注意点は「収入」ではなく「所得」で判断することです。
Q5. フリマアプリで商品を売った場合、申告は必要ですか?
A. 生活用品(衣服、家具など)の売却による所得は原則非課税のため、申告不要です。ただし、転売目的で継続的に行っている場合は事業所得として申告が必要になる可能性があります。
Q6. パートを掛け持ちしている場合はどうなりますか?
A. 2か所以上から給与を受けており、年末調整されなかった給与収入がある場合は確定申告が必要です。メインの勤務先で年末調整を受けていても、サブの勤務先分は申告する必要があります。
年金・退職編
Q7. 年金受給者も確定申告が必要ですか?
A. 公的年金などの収入金額が400万円を超える場合、または年金以外の所得が20万円を超える場合は申告が必要です。400万円以下かつ他の所得が20万円以下であれば原則申告不要です。
Q8. 年の途中で退職した場合はどうすればいいですか?
A. 年末調整を受けていない場合は、確定申告をすることで払いすぎた税金が戻ってくる可能性が高いです。申告義務はありませんが、還付を受けるためにも申告をおすすめします。
お得な還付申告編
Q9. 医療費がたくさんかかった場合、申告した方がいいですか?
A. はい。医療費控除を受けることで税金が戻ってくる可能性があります。年間の医療費が10万円を超える場合(所得200万円未満の方は所得の5%を超える場合)は、確定申告をおすすめします。
Q10. ふるさと納税をした場合の申告について教えてください
A. ワンストップ特例制度を利用していない場合や、6自治体以上に寄付した場合は確定申告が必要です。申告することで寄付金控除を受けられ、実質的な負担を軽減できます。
Q11. 住宅ローンを組んだ初年度は申告が必要ですか?
A. はい。住宅ローン控除の初年度は必ず確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で適用できますが、1年目のみ申告が必要となります。
Q12. 学生のアルバイトでも申告した方がいい場合はありますか?
A. 年収が103万円以下で源泉徴収されている場合は、確定申告をすることで源泉徴収された税金が全額戻ってきます。申告義務はありませんが、還付を受けるために申告をおすすめします。
事業・投資編
Q13. 事業で赤字が出た場合も申告は必要ですか?
A. 青色申告の場合、赤字でも申告することをおすすめします。損失を翌年以降3年間繰り越すことができ、将来の黒字と相殺して税負担を軽減できます。
Q14. 株式投資で利益が出た場合の申告について教えてください
A. 特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は申告不要ですが、一般口座や特定口座(源泉徴収なし)の場合は申告が必要です。また、損失がある場合は申告することで損益通算や繰越控除のメリットがあります。
申告しなかった場合のリスク
Q15. 申告が必要なのに申告しなかった場合、どうなりますか?
A. 以下のペナルティが課される可能性があります:
- 無申告加算税:原則として納付すべき税額の15%(50万円を超える部分は20%)
- 延滞税:法定納期限の翌日から納付日まで
- 重加算税:意図的な隠蔽があった場合は40%
早めの対応が重要ですので、心当たりがある方はお早めにご相談ください。
まとめ
Q16. 自分のケースがよく分からない場合はどうすればいいですか?
A. 確定申告は個々の状況によって判断が分かれることが多くあります。少しでも迷われた場合は、税理士にご相談いただくことをおすすめします。