16回 尼崎の税理士が解説|空き家特例と庭先切り売りの落とし穴 | 相続税関係

税理士法人松野茂税理士事務所 16回 尼崎の税理士が解説|空き家特例と庭先切り売りの落とし穴 | 相続税関係

相続した空き家を売却するときに使える 3,000万円特別控除(空き家特例)
便利な制度ですが、使えるケースと使えないケースの線引きに注意が必要です。

特に「庭先を分筆して切り売りする場合」は要注意です。


目次

目次

  1. 空き家特例の基本
  2. 家屋を残して庭だけ売った場合
  3. 家屋を取り壊してから土地を売った場合
  4. 実務での判断ポイント
  5. まとめ

1. 空き家特例の基本

  • 相続により取得した 被相続人居住用家屋 またはその敷地を譲渡した場合に、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。
  • 適用条件は、昭和56年5月31日以前建築の家屋であることや、相続から3年以内の譲渡など。
  • 条文では「当該家屋又はその敷地」と規定されています。

2. 家屋を残して庭だけ売った場合

  • 家屋を残したまま、庭先だけを分筆して譲渡するケース。
  • この場合、「当該家屋の敷地」とは言えず、空き家が残ってしまうため特例は適用できません

👉 庭先の切り売りだけでは「空き家解消」という制度目的を満たさないためです。


3. 家屋を取り壊してから土地を売った場合

  • 先に家屋を取り壊し、更地にした上で土地を分筆し、譲渡する場合。
  • この場合は「当該家屋の敷地に供されていた土地」として扱われるため、空き家特例の適用が可能です。

👉 ポイントは「家屋を取り壊して空き家が存在しない状態にすること」。


4. 実務での判断ポイント

  • 家屋を残すか、取り壊すかで税務の取扱いが180度変わります。
  • 家屋を残して庭先を売る → 特例NG
  • 家屋を取り壊して土地全体や一部を売る → 特例OK
  • 売却スケジュールを決める前に、必ず税理士や専門家に相談することが大切です。

5. まとめ

  • 空き家特例は「空き家の発生防止」が目的。
  • 家屋を残したまま庭先を切り売りしても特例は使えません。
  • ただし、先に家屋を取り壊せば、敷地を分筆して売却しても特例が適用可能です。

参考リンク

  • No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
  • 租税特別措置法 第35条の3(e-Gov法令検索)

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