尼崎の税理士が解説 | スタッフと先生のQ&A:役員貸付金の税務上の取扱いについて

尼崎の税理士法人松野茂税理士事務所 役員貸付金の説明
目次

Q1. 役員貸付金って何か問題があるんですか?

スタッフ: 先生、役員貸付金があると何か問題になるんでしょうか?

先生: はい、とても重要な問題です。役員貸付金は節税とは関係ありませんが、銀行融資に不利になるなど、経営上の大きなリスクがあります。税務上も適切な処理が必要なんです。

スタッフ: 具体的にはどんな税務上の問題があるんですか?

先生: 主に利息の問題ですね。適正な利率で貸し付けているかどうかが重要なポイントになります。

Q2. 適正な利率ってどうやって決まるんですか?

スタッフ: 「通常収受すべき利率」って具体的にはどのくらいなんでしょうか?

先生: 2つのケースに分かれます。

ケース①:法人が借入れて役員に転貸する場合

先生: 法人が銀行などから借り入れて、それを役員に貸し付ける場合は、その借入金の利率が基準になります。

スタッフ: つまり、会社が銀行から2%で借りていたら、役員にも2%で貸すということですね?

先生: その通りです。これが最も分かりやすいケースですね。

ケース②:その他の場合

先生: 会社の自己資金から貸し付ける場合は、**前年11月30日の基準割引率及び基準貸付利率+4%**が基準になります。

スタッフ: 結構高い利率になりそうですね…

先生: そうですね。現在の金利情勢を考えると、4%程度になることが多いです。

(今は改正さえています。2025年で国税庁のHPでは0.9%から1%ぐらいです。)

Q3. 無利息で貸し付けた場合はどうなりますか?

スタッフ: もし無利息で役員に貸し付けた場合はどうなるんでしょうか?

先生: これが税務調査でよく問題になるケースです。

会社側の処理

先生: 会社側では、通常収受すべき利息相当額が給与として扱われます。つまり、利息を取っていないことで役員に経済的利益を与えたとみなされるんです。

役員側の処理

先生: 役員側では、その利息相当額が給与所得として課税されます。

スタッフ: 両方で税金がかかるということですか?

先生: そうです。会社は給与として損金算入できますが、源泉所得税の徴収義務も発生します。

Q4. 実務ではどのように処理されることが多いんですか?

スタッフ: 税務調査で指摘された場合、実際はどうなるんでしょうか?

先生: 通達通りに厳格に処理されると、会社で利息を計上して、さらに源泉所得税まで徴収されることになります。

スタッフ: それは大変ですね…

先生: ただし、実務の現場では、4%程度の利息を未収金で計上して、給与課税はされないことが多いです。税務署も実情を考慮してくれる場合があるということですね。

(現在は改正され利率が下がっています。国税庁のHPを参照 0.9から1%ぐらい 2025年資料)

Q5. 通常より高い利率の場合はどうなりますか?

スタッフ: 逆に、通常より高い利率で貸し付けた場合はどうなるんですか?

会社側の処理

先生: 会社側では、通常収受すべき利率より高い部分は給与として認定されます。

スタッフ: どういう意味ですか?

先生: 例えば、適正利率が4%なのに10%で貸し付けた場合、6%分は役員への給与として扱われ、源泉所得税の問題が生じます。

役員側の処理

先生: 役員側では、利息が高いと判断された部分は雑所得として課税されます。

Q6. 役員借入金(逆のケース)はどうなりますか?

スタッフ: 今度は逆に、役員が会社にお金を貸した場合はどうなりますか?

先生: 役員借入金の場合は扱いが異なります。

無利息の場合

先生: 無利息でも何の問題もありません。役員が会社に無償で資金提供することは、税務上問題視されないんです。

高い利率の場合

先生: ただし、通常収受すべき利率より高い場合は問題になります。

スタッフ: どんな問題ですか?

先生: 会社側では、支払利息が高すぎる部分は給与認定されます。役員側では、利息が高いと判断された部分は雑所得として課税されます。

Q7. 例外的に認められるケースはありますか?

スタッフ: 何か例外的に認められる場合はあるんでしょうか?

先生: はい、3つの例外があります。

例外①:災害・疾病による場合

先生: 災害や疾病により多額の生活費を必要とする場合は、無利息貸付が認められることがあります。

例外②:合理的な利率の場合

先生: 会社が合理的な利率により貸し付けている場合も例外になります。

例外③:少額な場合

先生: 1年間の利息が少額な場合も問題にならないことが多いです。

スタッフ: 「少額」というのは具体的にはどのくらいですか?

先生: 明確な基準はありませんが、常識的に判断される範囲ということになります。

まとめ

先生: 今日のポイントをまとめると:

  1. 役員貸付金は銀行融資に不利になるリスクがある
  2. 適正利率は借入金利率または基準利率+4%
  3. 無利息貸付は給与課税のリスクがある
  4. 役員借入金の無利息は問題なし
  5. 災害・疾病等の例外的事情がある場合は配慮される
  6. 実務では柔軟な対応がされることもある

スタッフ: ありがとうございました!役員貸付金は作らないのが一番ですが、やむを得ない場合は適正な利率での処理が重要ですね。

先生: その通りです。特に税務調査では必ずチェックされる項目なので、事前の適切な処理が大切です。不明な点があれば、必ず相談してくださいね。


現在の利率ではありません。 投稿時の利率で記事は書かれています。

利率は常に変わりますのでお注意お願いします。

役員貸付金や税務調査対策に関するご相談は、税理士法人松野茂税理士事務所までお気軽にお問い合わせください。
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