あの日、バスは出ていった
私が税理士受験生だった30年前、関西のある著名な先生がこう言われました。
「税理士業界は今、バスが出たところです。次のバスは30年後にしか来ません。」
バブル経済が崩壊し、受験者数は史上最高を記録していた時代。「資格を取れば人生が変わる」と信じて必死に勉強していた私たち受験生にとって、この言葉は重く、しかし希望でもありました。
あれから30年——。
今まさに、次の「バス」がやってきたように感じています。
ジム・コリンズの教え:バスに乗る前に「誰を乗せるか」
経営学者ジム・コリンズは『ビジョナリー・カンパニー② 飛躍の法則』の中で、こう述べています。
「偉大な企業への飛躍は、まず『誰をバスに乗せるか』から始まる。そして『誰をバスから降ろすか』を決め、その後で『バスをどこへ向かわせるか』を決める。」
また彼は、偉大な企業は好況期ではなく、不況期や転換期にこそ飛躍の準備をすると指摘しています。
税理士業界も同じではないでしょうか。
静かな時代、変化の兆しが見える今こそ、次の30年の土台を築くチャンスなのです。
30年前と今:何が変わり、何が変わらないのか
【30年前の税理士業界】
- 手書きの帳簿から会計ソフトへの移行期
- 記帳代行が主要業務
- 税法知識こそが最大の武器
- 地域密着型の顧問契約モデル
【2025年の税理士業界】
- クラウド会計の普及
- 記帳自動化による業務の変化
- 高度専門知識(組織再編・M&A・国際税務)の需要増
- コンサルティング力が差別化の鍵
- デジタルマーケティングによる集客
変わったのは「手段」と「環境」。
変わらないのは「クライアントの課題を解決する」という本質です。
これからの30年:どんな税理士が「バスに乗る」のか
私が考える、これからの税理士に必要な5つの要素をお伝えします。
1. DXを味方にする柔軟性
弥生会計で30年やってきた私たちも、今はクラウド会計へのサポート拡充を進めています。技術は敵ではなく、クライアントサービスを高める道具です。
2. 専門性の深化と幅の拡大
所得税・法人税という基礎に加え、相続対策・組織再編・M&Aといった高度専門分野。長年のクライアントが次のステージで求めているのは、まさにこの領域です。
3. 「説明力」というコンサルティング力
複雑な税務を「分かりやすく伝える力」。これは30年前も今も、そしてこれからも変わらぬ価値です。
4. チーム力の構築
一人事務所から税理士法人へ。税理士2名・従業員7名の体制で、多様なニーズに応えられる組織づくりが不可欠です。
5. デジタル時代の情報発信力
ホームページ、SNS——。良質な情報を発信し続けることが、信頼と集客につながる時代です。
「前回は乗り遅れた30年。今は乗り直せる30年。」
この言葉は、過去を悔やむためのものではありません。
希望の再出発を意味する言葉です。
AI・DX・専門特化が進む今だからこそ、静かな「第二のバス停」から未来へ出発するタイミングなのです。
コリンズが言うように、まず「誰と一緒にバスに乗るか」を考えましょう。
- 共に成長できるスタッフ
- 長期的に伴走できるクライアント
- 専門知識を深め合える仲間
そして、そのバスを「どこへ向かわせるか」——クライアントの真の課題解決という目的地を見据えて。
30年前、あのバスに乗れなかった人も。
30年間、走り続けてきた人も。
これから税理士を目指す若い人も。
今この瞬間、私たちは同じバス停に立っています。
次の30年へ向けて、一緒に出発しませんか。
関連ブログ 税理士を目指した日から税理士法人設立までを連載投稿します。
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