【2025年最新版】贈与税申告で損しないための重要ポイント|税務署の指摘事例から学ぶ | 尼崎の税理士法人が解説

税理士法人松野茂税理士事務所 【2025年最新版】贈与税申告で損しないための重要ポイント|税務署の指摘事例から学ぶ | 尼崎の税理士法人が解説

税理士法人松野茂税理士事務所の松野です。

「良かれと思ってした生前贈与で、後から多額の税金が…」

そんな事態は絶対に避けたいですよね。特に2024年から贈与税・相続税のルールが大きく変わり、数年前の知識のまま申告すると、使えるはずの特例を見逃したり、後から追徴課税を受けたりするリスクが高まっています。

この記事では、国税庁が公表している「贈与税の誤りやすい事例」を基に、2025年現在の最新税制に沿って、プロの視点から見落としがちなポイントを徹底解説します。申告時期を迎える前に、ぜひご自身の状況と照らし合わせてご確認ください。


目次

1. 贈与財産の評価漏れに注意!

金銭以外の贈与は、財産の評価が大きなポイントです。特に土地に関する権利は見落としが多く、税務調査で指摘されやすい項目です。

【事例1】借地上の建物を贈与した場合

❌ 誤った処理
建物のみを評価して申告した。

✅ 正しい処理
建物だけでなく、借地権も財産として評価し、申告に加算する必要があります。たとえ賃貸借契約の名義変更をしていなくても、使用貸借として権利が移転しているとみなされる場合があります。


【事例2】親の土地に子供が家を建てた場合(使用貸借)

❌ 誤った処理
土地を無償で借りたので、借地権の贈与があったとして申告した。

✅ 正しい処理
地代を支払わない「使用貸借」の場合、権利の価値はゼロとして扱われるため、贈与税はかかりません。

ただし、将来その土地を相続する際の評価額は、借地権相当額を控除できない「自用地(更地)」評価となる点に注意が必要です。


【事例3】「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている土地の贈与

❌ 誤った処理
届出書が出ているので、借地権はないものとして自用地評価で申告した。

✅ 正しい処理
この届出書が提出されている土地を会社などに貸している場合、自用地評価額から20%を控除して評価します。

ただし、地代の授受がない実質的な使用貸借の場合は、自用地として評価します。


【事例4・5】生命保険契約に関する贈与

① 契約者の名義変更

父が保険料を負担していた契約の名義を子に変更しただけでは、その時点では贈与税は課税されません

将来、解約返戻金や満期保険金を受け取った時点で、元の保険料負担者から贈与があったとみなされます。

② 保険料の負担者と受取人が違う場合

契約者が子であっても、保険料を実質的に親が負担していた場合、子が受け取る満期保険金は親からの贈与とみなされ、贈与税の対象となります(一時所得ではありません)。


2. 贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)の適用要件

婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはその取得資金を贈与した場合に最大2,000万円まで控除できる特例です。適用要件の判定時期がポイントです。

【事例6】贈与後に離婚した場合

贈与を受けた時点で婚姻期間が20年以上あり、その後もその家に住み続けるのであれば、贈与があった年の末までに離婚しても配偶者控除は適用可能です。

婚姻期間の判定は「贈与の時」で行います。


【事例7】離婚・再婚した場合

一度離婚し、同じ相手と再婚した場合、通算の婚姻期間が20年以上であれば適用できます。


【事例8】再婚相手からの贈与

以前、亡くなった前夫からの贈与で配偶者控除を使っていても、今回の贈与者(新しい夫)が別人であれば、新たに配偶者控除の適用を受けられます

この特例は「同じ贈与者から」一生に一度しか使えません。


3. 【2024年大改正!】相続時精算課税制度の選択

🔥 2024年1月から制度が大きく変わりました

2024年1月から制度が大きく変わり、使い勝手が格段に向上しました。 古い情報のまま判断しないよう注意が必要です。


【改正点】年間110万円の基礎控除が創設

従来の2,500万円の特別控除とは別に、年間110万円の基礎控除が新設されました。

これにより、この制度を選択した後でも、毎年110万円以下の贈与であれば申告不要となり、その金額は将来の相続財産にも加算されません。


【事例13】基礎控除110万円以下の場合(改正後)

❌ 改正前
相続時精算課税を選択すると、110万円以下でも申告が必要だった。

✅ 改正後
相続時精算課税を選択していても、年間110万円以下の贈与であれば申告は不要です。

💡 これは今回の改正で最も重要なポイントの一つです。


【事例10・11】贈与者ごとに選択・控除が可能

この制度は贈与者(父、母など)ごとに選択できます。

例えば、父から受けた贈与でこの制度を選択し、母からの贈与は暦年課税を選ぶことも可能です。

また、父と母の両方からこの制度で贈与を受ける場合、2,500万円の特別控除と110万円の基礎控除はそれぞれに適用できます。


【事例12】一度選択したら暦年課税には戻れない

一度、特定の贈与者(例:父)からの贈与で相続時精算課税を選択すると、その後、その贈与者からの贈与はすべてこの制度が適用され、暦年課税に戻すことはできません

2,500万円の特別控除を使い切った後は、超えた分に一律20%の税率で贈与税がかかります。


4. 住宅取得等資金の贈与の特例

父母や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合に適用できる非課税制度です。適用期限や要件の確認が必須です。

⚠️ 制度の期限と非課税限度額

この特例は2026年12月31日まで延長されています。

非課税限度額は、

  • 省エネ等住宅:1,000万円
  • 一般住宅:500万円

【事例15・16】翌年3月15日までに居住・新築が完了しない場合

原則として贈与を受けた翌年3月15日までに居住を開始する必要がありますが、**「遅滞なく居住することが確実」**と見込まれる場合は、一定の書類を添付することで特例の適用が可能です。

ただし、翌年末までに居住しない場合は修正申告が必要です。


【事例17】分譲マンションの取得時期

分譲マンションや建売住宅の場合、建物が完成していても**「引渡し」を受けていない**と特例は適用できません。

請負契約による新築とは扱いが異なるため注意が必要です。


【事例24】相続時精算課税との併用

この特例を適用した後の残額については、

  • 暦年課税(110万円の基礎控除)
  • 相続時精算課税(2,500万円の特別控除+110万円の新基礎控除)

を選択して適用することが可能です。


まとめ:贈与税申告は最新の知識を持つ専門家へ

贈与税の申告は、毎年のように改正される税法への正確な理解が不可欠です。特に2024年からの改正により、生前贈与の戦略は大きく変わりました。

📌 2024年からの主な改正点

相続財産への加算期間が3年から7年に延長
相続時精算課税制度に年間110万円の非課税枠が新設

これらの大きな変更点を踏まえずに過去の知識で判断すると、思わぬ不利益を被る可能性があります。

将来の相続まで見据えた最適なプランニングを行うには、専門家のサポートが欠かせません。


尼崎での贈与・相続のご相談は税理士法人松野茂税理士事務所へ

当事務所では、30年以上の実務経験を活かし、贈与税・相続税申告について専門的かつ分かりやすいアドバイスを提供しています。

生前贈与はもちろん、事業承継に伴う株式の贈与、組織再編やM&Aといった高度な専門知識を要する案件まで、お客様の状況に合わせた最適なタックスプランニングをご提案いたします。

初回のご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。



※本記事は2025年10月現在の法令に基づいています。実際の申告に当たっては、必ず専門家にご相談ください。


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代表税理士:松野 茂
社員税理士:山本 由佳
所属税理士:近畿税理士会 尼崎支部
法人登録番号:第6283号
法人番号:4140005027558
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