相続で取得した空き家を売却する際に使える「3,000万円の特別控除」。
いわゆる 空き家特例 ですが、じつは建物を取り壊さずに売却する場合には「耐震基準を満たしているかどうか」が大きなポイントになります。
今日はこの点を整理してみます。
1. 取り壊さずに特例を受ける条件
- 相続した空き家をそのまま売却しても特例を使えるのは、建物が新耐震基準(昭和56年6月以降の基準)に適合している場合です。
- 古い建物(昭和56年5月31日以前に建築)であっても、耐震改修をして基準を満たしていることを証明できればOK。
👉 つまり「耐震を証明できるかどうか」が分かれ道になります。
2. 耐震基準の確認方法
「じゃあどうやって耐震を確認するの?」という疑問が出てきますね。
確認方法は次の通りです。
- 耐震改修工事をした場合
- 工事後に建築士などから「耐震基準適合証明書」を発行してもらう。
- 市町村の耐震リフォーム補助金を利用するケースもあります。
- もともと新耐震基準の建物の場合
- 建築確認済証や検査済証などで確認できます。
3. 必要な証明書類
特例を受けるためには、次のいずれかの書類が必要です。
- 耐震基準適合証明書(建築士・確認検査機関が発行)
- 建設住宅性能評価書(耐震等級の記載あり)
- 既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書
※ いずれも 譲渡契約日からさかのぼって2年以内に発行されたものが有効です。
4. 実務上の注意点
ここが一番の落とし穴です。
- 証明書を取らないまま売却契約を結んでしまうと、あとから特例が使えないことがあります。
- 耐震工事や証明書発行には時間がかかるので、売却のスケジュールを立てる前に確認することが大切です。
5. まとめ
空き家特例を取り壊さずに使いたい場合、
✅ 建物が新耐震基準を満たしていること
✅ その証明書を取得していること
が絶対条件です。
もし耐震基準を満たさない場合は、取り壊して土地だけを売却する方法を検討することになります。