税理士法人松野茂税理士事務所 松野先生とスタッフの田中さんの会話から、税務署の情報収集方法と調査対象選定について分かりやすく解説します
Q&A 1:「税務署はどのような方法で情報を集めているんですか?」
田中スタッフ: 松野先生、税務署は調査前にどのような方法で情報を収集しているのでしょうか?
松野先生: 税務署の情報収集方法は非常に多岐にわたります。主な方法は以下の通りです:
1. 法定調書 給与、配当、生命保険などの法定調書から情報を収集
2. 税務職員の調査情報 過去の調査で収集した情報を蓄積
3. 資料調査部の企業取引情報 企業間の取引関係を組織的に調査
田中スタッフ: それ以外にも情報源があるんですか?
松野先生: はい、他にも:
4. 新聞・雑誌・テレビの情報 メディアで報道された企業情報
5. タレコミ・通報 税務署への一般からの情報提供
6. 事前照会文書 各種届出や申請書類から得られる情報
これらの情報を総合的に分析して、調査対象を絞り込んでいるんです。
Q&A 2:「税務署はどのような会社を調査対象に選ぶのですか?」
田中スタッフ: 税務署が調査先を選定する際のポイントを教えてください。
松野先生: 調査先の選定には明確なポイントがあります:
重点調査対象:
- 過年度の大口不正があった会社:重点的にマークされます
- 高収益法人:利益率が高い会社は注目されやすい
- 不正常習業種:業界的に不正が多い業種
田中スタッフ: 申告書のどの部分を特に見られるのでしょうか?
松野先生: 申告内容は資料情報と照合して詳細に分析され、不正パターンは事前に検討されて調査されます。税務署は過去のデータから、業種ごとの不正パターンを把握しているんです。
Q&A 3:「申告書のどの項目が特にチェックされやすいですか?」
田中スタッフ: 申告書の中で、税務署が特に注目する項目はありますか?
松野先生: はい、以下の項目は特に重点的にチェックされます:
貸借対照表関係:
- 未払金・買掛金・支払手形の合計と棚卸資産の整合性:利益操作の有無
- 役員借入金・仮受金の増加:不正な隠し預金からの資金繰りではないか
損益計算書関係:
- 営業外損益・特別損益の異常な数値
- 役員報酬の変動:議事録の存在、非常勤役員の処理など
田中スタッフ: 過去のデータとの比較も行われるんですね。
松野先生: その通りです。過去5年間の比率で異常な数値がないかを詳細に分析します。また、事業概況書の5年分の月別売上総利益で異常数値がないかもチェックされます。
Q&A 4:「関係会社との取引も調べられるのですか?」
田中スタッフ: グループ会社がある場合は、どのような点をチェックされますか?
松野先生: 関係会社との取引は特に厳しくチェックされます:
- 利益操作の有無
- 資本的支出の適正性
- 交際費の計上の妥当性
また、役員報酬・給与と所得税徴収高計算書の整合性や事業概況書と所得税徴収高計算書の整合性も詳細に確認されます。
田中スタッフ: 人件費の処理も注意が必要ですね。
松野先生: はい、人件費と外注費の区分は特に注意深く調べられます:
- 仮装外注費の検討
- 仮装人件費・外注費の有無
適正な区分処理が重要です。
Q&A 5:「どのような支出が怪しまれやすいのですか?」
田中スタッフ: 税務署が特に注目する支出パターンはありますか?
松野先生: 以下のような支出は特に注目されやすいです:
高額な資産購入:
- 高級外車の購入
- 不動産の購入
派手な支出:
- 派手な広告宣伝
これらの支出があると、資金の出所や事業との関連性を詳しく調べられる可能性が高くなります。
田中スタッフ: 事業に必要性があれば問題ないということですね。
松野先生: その通りです。ただし、事業との関連性や必要性を明確に説明できるよう、購入理由や使用実態を記録しておくことが重要です。
Q&A 6:「事前の資料収集を知って、どう対策すべきでしょうか?」
田中スタッフ: 税務署がこれほど詳細に事前調査をしていることを知って、どのような対策を取るべきでしょうか?
松野先生: まず、日頃から適正な申告と記帳を心がけることが最も重要です:
基本的な対策:
- 月次の数値管理と異常値の早期発見
- 関係会社取引の適正価格での処理
- 役員報酬の適正な手続き(議事録作成等)
- 人件費と外注費の適正な区分
記録の整備:
- 高額支出の事業関連性を示す資料保管
- 取引の実態を示す証憑類の整理
田中スタッフ: 税理士との連携も大切ですね。
松野先生: はい、税理士法33条の2の書面添付を活用することで、事前の意見聴取の機会を得ることができます。これにより、調査前に問題点を整理し、適切な対応を準備することが可能になります。
Q&A 7:「もし調査対象に選ばれてしまったらどうすればいいですか?」
田中スタッフ: 万が一、調査対象に選ばれてしまった場合の心構えを教えてください。
松野先生: 調査通知を受けた時点で、税務署側は既に7割方の調査を終えていることを理解しておくことが重要です。
調査対応のポイント:
- 事実を正確に説明する
- 必要な資料を整理して準備する
- 税理士と連携して適切な対応を取る
- 感情的にならず、冷静に対応する
田中スタッフ: 隠すよりも、正直に対応する方がいいんですね。
松野先生: その通りです。税務署は既に相当な情報を把握していますので、正直で誠実な対応が結果的に最善の解決につながります。
まとめ:日頃の適正な処理と記録保管が最良の税務調査対策
松野先生からのアドバイス:
税務署の情報収集能力と分析力は非常に高度です。事前調査の段階で多くの情報が収集・分析されていることを理解し、日頃から以下の点を心がけることが重要です:
- 適正な申告と記帳の徹底
- 異常値の早期発見と対応
- 取引の実態に基づく適正な処理
- 必要な資料の整理・保管
当事務所では、豊富な経験を活かして、日常の会計処理から税務調査対応まで、総合的にサポートいたします。弥生会計やクラウド会計での適切な記帳管理により、税務リスクを最小限に抑えるお手伝いをいたします。
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