特定資産の買換え特例における土地と建物の所得者が異なる場合の重要な解釈について(法人税・所得税共通)

尼崎の税理士法人松野茂税理士事務所 買い替え特例 土地と建物の取得者が異なる場合

正し個人的な解釈によっています。個々の事案の解釈を保証するものではありません。

スキームのを実行した場合は各個人の判断で当社は一切責任を負いません。

目次

~国税庁照会事例から学ぶ圧縮記帳の適用範囲~

相続税・組織再編を専門とする税理士法人松野茂税理士事務所の松野です。今回は、国税庁の照会事例から、特定資産の買換え特例(圧縮記帳)について重要な解釈をご紹介いたします。

照会事例の概要

事案の内容

  • 甲社がX年12月に10年超所有していた土地を売却
  • 今後、新たに土地(300㎡以上のもの、以下「本件土地」)を取得予定
  • 租税特別措置法第65条の7の特定の資産の買換えの場合の圧縮記帳(3号)の適用を検討

照会のポイント 甲社が取得する予定の本件土地は、第三者に賃貸し、賃借人が倉庫(租税特別措置法施行令第39条の7第5項に規定する特定施設)に該当するものを建築する予定です。

この場合、租税特別措置法第65条の7第1項の表の第3号下欄に規定する買換資産として、**「特定施設の敷地の用に供される土地等」**が掲げられていますが、本件土地に建築される倉庫は第三者が所有するものであっても、本件土地は買換資産に該当するかが争点の紹介です。

理由と解釈

国税庁は以下の理由で肯定的な回答をしています:

取得した土地を賃貸し、賃借人が特定施設を建築する場合でも、買換資産として取り扱われる

実質的な用途に着目

租税特別措置法第65条の7第1項の表の第3号下欄に規定する買換資産として「特定施設の敷地の用に供される土地等」について、土地の所有者と建物の所有者が異なる場合でも適用可能

柔軟な解釈

土地を取得した法人が第三者に賃貸し、その第三者(賃借人)が特定施設を建築する場合であっても、その土地は「特定施設の敷地の用に供される土地等」に該当する

実質重視の判断

所有関係よりも実際の用途が重視される

税理士としての実務上のポイント

1. 積極的な適用検討

  • 土地と建物の所有者が異なる場合でも、買換特例の適用可能性を検討
  • 個人と法人間の取引でも、適切な手続きにより適用可能

個人が土地の買い替え特例を受け その土地を同族会社に賃貸する場合にも該当すると判断できます。

2. 借地権課税対策の重要性

借地権課税の問題をクリアにします。

  • 無償返還条項付き賃貸借契約の活用
  • 税務署への無償返還届出による適正処理
  • 地代設定の適正化(固定資産税の3倍程度が目安)

3. 総合的な税務戦略

  • 個人の買換え特例と法人の事業用資産取得を組み合わせた節税策
  • 借地権課税を回避しつつ、実質的な事業用途を確保
  • 事前の税務相談により、リスクを最小化した取引設計

実務での活用事例

当事務所での実践例

この国税庁回答を踏まえ、当事務所では以下のような実務対応を行っています:

ケース:個人の買換え特例と法人への賃貸

国税庁回答により、この土地は買換資産として適用可能と判断

個人のクライアントが買換え特例を適用して土地を取得

その土地を法人(同族会社)に賃貸し、法人が特定施設を建築する予定

実務での活用事例

当事務所での実践例

この国税庁回答を踏まえ、当事務所では以下のような実務対応を行っています:

ケース:個人の買換え特例と法人への賃貸

国税庁回答により、この土地は買換資産として適用可能と判断

個人のクライアントが買換え特例を適用して土地を取得

その土地を法人に賃貸し、法人が特定施設を建築する予定

国税庁回答により、この土地は買換資産として適用可能と判断

借地権課税回避のための対策

  1. 無償返還条項の設定
    • 賃貸借契約書に無償返還の条項を明記
    • 契約終了時に借地権の対価なしで土地を返還する旨を規定
  2. 無償返還届の提出
    • 税務署に「土地の無償返還に関する届出書」を提出
    • 借地権課税を回避し、適正な税務処理を確保
  3. 適正な地代設定
    • 地代は土地の固定資産税の3倍程度で設定予定
    • 相当の地代(更地価格の6%程度)ではなく、通常の地代として取り扱い

税務上の効果

  • 個人:買換え特例により譲渡益の繰延が可能
  • 法人:借地権課税を回避し、適正な損金算入
  • 全体:トータルでの税負担軽減を実現

まとめ

今回の照会事例は、特定資産の買換え特例における「特定施設の敷地」の解釈について、従来よりも柔軟で納税者有利な見解を示しています。所有関係にとらわれず、実質的な用途に着目した判断がなされることが明確になりました。

さらに、個人と法人間の取引においても、適切な契約書の作成と税務署への届出により、借地権課税を回避しながら買換え特例の適用が可能となります。


関連する法令

租税特別措置法関係通達(法人税編)65の7(1)-21

租税特別措置法第65条の7第1項第3号

租税特別措置法施行令第39条の7第5項

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