地代家賃や交際費でわかる業績

     
 中小企業の利益は 役員報酬で役員家族に支払われるため、会社の業績が良ければ
役員報酬を増額して業績が悪くなれば役員報酬を減額させる事は理解できたと思われます。
家族に支払われている役員報酬の内訳まで知ることができれば会社の後継者が育っているか
も判断できます。
役員報酬の内訳は法人税法の申告書に添付する勘定科目内訳書に記載されています。

 事業年度途中の役員報酬の増額や減額は法人税法の規定で事業年度開始から
3月以内に行わないと損金不算入になり、業績の判断から役員報酬の増減までタイムラグ
が生じてしまいますが、普通の税理士なら合法的に利益を繰延べる手段を知っています。 

会社の利益は役員報酬で操作する事はすでに説明しましたが、
役員報酬と同様に社長の判断で利益操作できるものが2つあります。
?社長が会社に事務所などを貸付けている場合の地代家賃
?交際費や税務上グレーゾーンとなる個人的な経費  です。

?地代家賃
地代家賃については 役員報酬に地代家賃分を含めて役員報酬を高めに決める方法
と 役員報酬とは別に地代家賃を支払う方法の2種類があります。

役員報酬を高めにして地代家賃を含めてしまった場合は、
給与所得控除が多くなりますし社長個人の不動産所得の申告は必要ありません・・・メリット
社会保険に加入済みならば、社会保険料の増額と
年金の支払を受けている年齢ならば 厚生年金の支給停止の条件に触れる・・・デメリットがあります。

役員報酬とは別に地代家賃を支払った場合は
給与所得控除の増加は望めませんが、固定資産税や建物の減価償却などの経費がありますし、
青色申告控除の10万円を受ける・・・メリット
と個人の不動産所得の確定申告・・・デメリット
がありますのでどちらが良いとは一概には説明できませんが〜
社会保険に加入している場合は社会保険料の負担増を考慮すると地代家賃は高目に設定する方が
税金と社会保険料の両方の面で支払が少なくなると思います。

税務上は社長が会社に無料で事務所を貸付けても問題は生じませんが、
地代家賃を高額にする場合は税務上 問題がありますので、注意してください。

?交際費
 交際費の増減には 会社が儲かっているときは贅沢に使う
 業績が悪くなれば節約を始める
 苦しくなったら極力抑える
 ので 交際費の増減は会社の業績を写し出します。

しかしながら 社長個人の性格から交際費を嫌う社長には当てはまりません。
業績が悪くなっているにも関わらず交際費が抑えられない社長もいます。
社長の個性や性格 派手付きであるのか? 自分に対して厳しいのか? 
交際費の支出を見ていくと判断できます。

税務上グレーゾーンとなる社長個人の経費ですが、税務調査でもめる原因になるので
税理士としては悩ましい経費です。 税務上認められるか否かは個々の調査によって
異なります。調査での増差額税額が多ければみのがしてもらえそうな経費ですが、
他に調査で何もでてこなければグレーゾーンは否認されることが多いです。

このグレーゾーンの経費も会社の業績に連動して交際費と同じように増減します。

まとめてみます

会社の業績は決算書上は利益に反映されない。
会社の業績が良くても
?役員報酬  ? 地代家賃 ?交際費などの経費 の増加として決算書上は 利益を圧縮している。
業績が悪くなると
?役員報酬  ? 地代家賃 ?交際費などの経費 が減少して 一定の利益を確保する。